物理好きの高校生・大学生のための読み物シリーズ

わかる宇宙論

「光は昔もっと速かった」という一本の補助線から出発して、原子の中の 1/137、シュレディンガー方程式、計算機での再現、そして未解決の謎まで ── 同じ一つの考えでたどる、手を動かす宇宙論。

全 23 話(本編12+最終1+番外10)+ 導入版 各話:日常語 → 数式 → 種明かし → 練習問題 印刷・PDF化対応
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本編
第 1 回
光は昔、もっと速かった

宇宙膨張を「光速がゆっくり遅くなる」と読み替える。光速は毎年 2.2 cm/s ずつ遅くなる、を自分で導く。c · t = 一定

第 2 回
原子の中に隠れた 1/137

水素原子の電子は光速の 1/137 で回っている。単位が消える不思議な数 α を、実際に計算して確かめる。α = v/c ≈ 1/137

第 3 回
シュレディンガーは、光速を無限大にした世界

相対論のエネルギーを開くと、見慣れた運動エネルギーが現れる。c→∞ で相対論が消える極限を式で。c → ∞ ⇒ v/c → 0

第 4 回動く図つき
昔は光が速かった、を計算機で追う

式を漸化式に直して一歩ずつ計算。ページ内のグラフはその場で再計算される本物。変数変換で計算が速くなる仕組みも体験。c(t) = c₀t₀/t

第 5 回動く図つき
レコードとCDは区別できるか

サンプリング定理で、離散と連続の境目に迫る。粗く測ると偽の波が生まれる「エイリアシング」を、動かして見る。f_s > 2 f_max

第 6 回・前編動く図つき未解決の扉へ
1/137 は、動く数だった

その 1/137 すら、見る細かさで変わる(1/137 → 1/128)。「なぜ 1/137 か」という問いを、正しい形に立て直す。α(細かさ) は一定でない

第 6 回・後編動く図つき未解決の扉へ
三つの力は、一点で出会うか

走る力が三つあり、高エネルギーで一点に近づく ── それが大統一。「一つの数から全部」という夢が、どこまで行けてどこで止まるか。M_GUT ~ 2×10¹⁶ GeV

第 7 回動く図つき実データで裁く
中性子は、正直な証人

陽子崩壊は 10³⁴ 年で裁けなかった。でも中性子は 880 秒で壊れ、138億年前のヘリウム量が c·t=一定 に判決を下す ── 額面は棄却、α不変ゲージなら無罪だが観測不能。Γ ∝ Q⁵ / ΔQ/Q ≲ 0.34%

第 8 回動く図つき
i の曖昧さが、力を生む

第3回で残った i を解剖。位相の曖昧さを「各点で自由に選んでいい」と局所化した瞬間、それを取りつくろうために電磁気力が生まれる ── α の起源。アハラノフ・ボーム効果で「跡を残す曖昧さ」を体験。∂ → D = ∂ − iA / α の起源

第 9 回動く図つき
i を虚軸に回すと、温度になる

同じ i を時間の虚軸に90度回す(ウィック回転)と、振動が減衰に、量子が熱に化け、虚時間の周期がそのまま温度になる。c·t=一定 の膨張を重ねると温度が 1/t で下がり、第7回のBBN(宇宙の冷却)につながる。t → −iτ / τ = ℏ/k_BT

第 10 回動く図つき
崩壊とは、情報が消去されることである

核子は「n か p か」の1ビット。宇宙が冷えて更新が追いつかなくなるとビットが凍り、非可逆な消去=崩壊だけが残る。ランダウアー原理(1ビット消去に k_BT ln2)が情報とエネルギーの橋を架け、第7回のBBNフリーズアウトを書き直す。1ビット消去 = k_BT ln2

第 11 回動く図つき質量の側へ
ニュートリノは、差しか教えてくれない

ついに質量の側へ。ニュートリノの絶対質量は誰にも測れず、測れるのは二乗差 Δm² だけ ── 番外編②「絶対値は帳簿、差だけが物理」が実験でそのまま起きている。振動は第9回の i の位相、軽さの起源シーソーはGUTスケールと握手。測れるのは Δm² だけ

最終回
最終回動く図つき未踏の領域
重力を、この絵に入れられるか

四つ目の力・重力は、E² で急上昇しプランクスケールで追いつく ── が、そこで繰り込めなくなる。シリーズがずっと指してきた「帯域の端」の正体、そして開いたままの最後の扉。重力の強さ ∝ E² / M_Planck ~ 10¹⁹ GeV

番外編
番外編 ①動く図つき
ハッブル定数は、定数じゃない

微分ひとつで、名前の嘘を暴く小話。H = 1/t で、時間とともに減っていく。名前より定義を信じる、という習慣。H = ȧ/a = 1/t

番外編 ②
なぜ光速を「固定」したのか

1983年、人類は光速を測るのをやめ、値を確定した。比べる相手が光速に追いつかれたから ── 測るとは比べること、という根っこの話。速さ = 距離 ÷ 時間

番外編 ③動く図つき
VSLは、なぜ惜しかったか

光速を本気で変えようとした理論。動機は正しく、実装で足を踏み外した ── c だけ動かして、守るべき α を守れなかった。固定すべきは c でなく α

番外編 ④動く図つき本編級
空間の歪みと光速の減少は、いつ等価か

シリーズの合言葉「空間の伸び = 光速の減少」を、二つの条件つきで厳密化。どこで成り立ち、どこで破れるか。③の教訓が等価条件になる。c_B·a = 一定 / α 不変

番外編 ⑤動く図つき三部作 1
α を動かすなら、何を固定できるか

「守る」から「動かす」へ視点を反転。α を作る4定数は次元上「3人分」しかなく、固定できるのは3つまで。動く1つをどれにするかはゲージ(帳簿の選択)。固定できるのは3つまで

番外編 ⑥動く図つき三部作 2
「1/137 が 1/128 になる」は、どっちの動き?

α が動くには二つの軸がある ── 時間で動く(ゲージの自由あり/論争中)と、エネルギーで走る(自由なし/確立した事実)。「128」は時間ではなくエネルギーの話。時間の軸 と エネルギーの軸

番外編 ⑦動く図つき三部作 3
細かさのツマミには、両端がある

エネルギーのツマミは無限には回せない。下は 1/137 の床、上は電弱・大統一・プランクの壁。両端は「いまの物理が終わる場所」と一致。読書案内つきで三部作を締める。床は 1/137、天井はプランクの縁

番外編 ⑧動く図つき
固定しない、が最強だった

ヤン=ミルズが勝ったのは「固定しない」記述を選んだから ── 正確には、対称性を露わに保つ固定を選び、不変の芯を壊さなかったから。第8回の“力の起源”を裏から。記述の自由 ↔ 力学の硬さ

番外編 ⑨
固定していい定数の地図

次元付きは全部“約束”、無次元の大半は“測るしかない26個”、ごく一部だけ原理(アノマリー相殺・トポロジー・固定点)が厳密値に固定。三列の地図で定数シリーズを閉じる。約束の固定 と 必然の固定

番外編 ⑩動く図つき最終回
AIは物理を、どう見ているのか

道具そのものを同じ物差しで。AIは接地した単位を持たず“比だけ”で世界を表し、埋め込みには文字どおりのゲージ自由がある。得意(仕分け・接続)と危うさ(数値・流暢さの罠)を切り分けてシリーズを閉じる。AIは、比しか持っていない

導入版(一般向け・数式ひかえめ)
第 1 回・導入版
光は昔、もっと速かった(やさしい版)

数式を使わず、語りと種明かしだけで宇宙膨張を読む版。まず雰囲気をつかみたい人・人に見せたい人向け。