物理好きの高校生・大学生のための読み物シリーズ
ブラックホールは、物理の"立方体"の対角線 ── c・ℏ・G が同時に効く、唯一の実験室。そこでは物理がすべて「情報(ビット)の無次元比」に化ける。地平面はプランク面積ごとに1ビットの黒板で、そこに未完成の量子重力への入口がある。情報と比だけで、宇宙の最果てを読む。
脱出速度が光速 c に達する半径が事象の地平面(R_s=2GM/c²)。外から見ると時間が凍りつき(凍結星)、落ちる本人はすり抜ける ── 「止まる」は視点しだい。情報の一方通行の膜。R_s = 2GM/c²
S=k_B c³A/(4Gℏ)=A/(4ℓ_P²)。エントロピーは地平面の面積をプランク面積で割った、ただのビット数。物理の全定数が一行に集合する唯一の式。しかも骨格は「比」だけで導ける。S/k_B = A/(4ℓ_P²)
地平面は温度を持つ:T∝1/M。軽いBHほど熱く、負の比熱で熱すればやせ細り、ついに蒸発する(寿命∝M³)。「入る最大の光子のエネルギー=温度」と比で出る。T = ℏc³/(8πGMk_B)
ブラックホールは自然界で最速・最密の計算機(ロイドの究極のラップトップ)。情報をかき混ぜる速さは物理の上限(カオス限界)。落ちた情報は表面のキューに最大混合で積まれ、放射で返る。λ ≤ 2πk_BT/ℏ
領域に詰め込める情報は、体積でなく表面積(プランク単位)で決まる(ベッケンシュタイン限界)。3次元の中身が2次元に符号化される ── AdS/CFT はその具体例(ただし我々の宇宙はAdSでない)。S ≤ A/(4ℓ_P²)
蒸発で情報は消えるのか(ユニタリ性 vs ホーキング)。これが ℏ と G の正面衝突=量子重力の核心。Page曲線・islands の近年の進展、情報→重力(ジェイコブソン)、そして残る最後の一角。c・ℏ・G の角
第2回の係数 1/4 を、実際に手計算で組み上げる。R_s→表面重力→温度→第一法則→面積、と進むと 1/4=4π/16π が出る。比では出せないのは③の 2π(=虚時間の輪の一周)だけ ── それも「一周は2π」までかみ砕く。1/4 = 4π ÷ 16π
情報でブラックホールを読んできた先の大問い。定数=ハードウェア仕様(c=バンド幅・ℏ=演算コスト・面積=メモリ)、宇宙のRAM≈10¹²²ビット(Λが決める)、計算の終わり=熱的死。「計算限界に従う」は確立、「計算機である」は思弁 ── の正直な線で締める。宇宙のRAM ≈ 1/(Λℓ_P²)