物理好きの高校生・大学生のための読み物シリーズ
なぜ力は、光速で伝わるのか。「場」を一枚ずつ剥がすと、出てくるのは実体ではなく比だった ── 遅れの比、硬さと重さの比、射程の比、強さの比。姉妹編「わかる力」の番外『力の速さ』を、こんどは場の側から、単位のない数(無次元量)だけで組み直す。
力は瞬時には伝わらない。あなたが感じる力は、源の“今”ではなく、光の旅の時間ぶんだけ昔を指している。場とは、その遅れを各点に貯めておく帳簿。ニュートンの瞬時力は、遅れの比がゼロに見える近似だった。遅れ数 ε = (r/c) / T
どんな波の速さも √(復元/慣性)。場も同じで、電磁場の速さ c は電気的な硬さと磁気的な重さの比。場の“重さ”がゼロに張り付くと、比は上限 c に達する。v = √(k/m) / c = 1/√(ε₀μ₀)
担い手が重いと場はすぐ息切れし、届く距離が縮む(湯川)。光子は質量ゼロだから無限遠まで=光速・無限射程。射程と距離の比だけで、力の“届き方”が読める。射程 λ = ℏ/mc
場の“結びつきの強さ”は単位を持たない一つの数。電磁気は 1/137、重力は電子どうしで約 10⁻⁴³。姉妹編の α が、ここで場の言葉に翻訳される。α = e²/(4πε₀ℏc)
場の線は消えも増えもせず、球の表面に薄く広がるだけ。表面積は r² に比例するから、密度は 1/r²。これは力の性質ではなく、空間が3次元という比の指紋。場の密度 ∝ 1/r^(d−1)
第3回で質量は場のブレーキだった。ではその質量はどこから来るのか。真空を満たすヒッグス場との結びつきの強さ(湯川結合)が、粒子ごとの質量を決める。質量すら、ヒッグス場の基準値に対する無次元の比だった。m = y·v/√2(y は無次元)