物理好きの高校生・大学生のための読み物シリーズ
相対論は難しくない ── ただ、単位のある「時間・距離・速さ・質量」から考えるから複雑になるだけ。すべてを c で割って無次元にすると、相対論は「たった一つの不変量(時空間隔)と、一つの比 β=v/c」の話に畳まれる。姉妹編「わかる場」第2回で残した宿題 ──〈なぜ c が上限か〉── の回収でもある。
c は「速い乗り物」ではなく、時間と空間の両替レート。時間を ct で距離に直せば時空はひと続き。だから意味のある速さは単位のない割合 β=v/c だけ。日常の β は 10⁻⁸ で、ニュートンは β→0 の近似。β = v/c
動く時計はゆっくり進む。その遅れ具合 γ は、β だけで決まる純粋な関数 γ=1/√(1−β²)。日常では 1、光速近くで無限大。時間の遅れも長さの縮みも、この一つの γ。γ = 1/√(1−β²)
時間も距離も観測者ごとにバラバラ(舞台装置)。でも s²=(ct)²−x² だけは、誰が測っても同じ。ローレンツ変換は、この不変量を保つ“時空の回転”。s² = (ct)² − x²
質量とは、静止している物体が持つエネルギー。動けば E=γmc²、無次元にすれば E/mc²=γ。質量ゼロなら全エネルギーが運動で、c で走る(わかる場と握手)。E² = (pc)² + (mc²)²
「今」=ct が一定の面。その切り方が観測者ごとに傾くから、同時はズレる。でも原因と結果の順序=因果順序は、誰から見ても不変。それを守るのが「何ものも c を超えない」。光円錐で一望する。光円錐と因果順序
加速と重力は見分けられない(等価原理)。重力とは時空の曲がりで、物は曲がった時空をまっすぐ進んでいるだけ。そして c が絶対の上限な理由も、時空の構造に書いてある。重力 = 時空の曲率
重力を「空間が曲がる」でなく「場所ごとに光速が変わる(=重力の屈折率 n(x))」と言い換えても、光の曲がりも重力赤方偏移も同じに出る。曲率と可変 c は、同じ不変量の二つの記述(座標の取り方)。局所で測る c と α は不変のまま ── 姉妹編「わかる宇宙論」VSL と地続き。c(x) = c/n(x) ≡ 曲率
「効くのは無次元の比」の実演。速度の合成は、ラピディティ θ で見れば θ=θ₁+θ₂ の“ただの足し算”に戻る。水素の基底エネルギーは無次元なら α²/2 の一行、単位を入れると m_e e⁴/(8ε₀²h²) と定数が雪だるま。複雑さの正体は「物差しの持ち運びコスト」。動くスライダーで β の物差しとラピディティの物差しを見比べる。θ = θ₁+θ₂ / E = −½α²
第7回「重力は可変光速でも書ける」の裏からの補強。その言い換えを最初に言ったのはアインシュタイン本人(1911年)で、しかも光の曲がりは 0.83 秒角 ── 正解 1.75 秒角のきっかり半分だった。理由は一行、m/ρ が「時計から一つ、定規から一つ」来るから。時計だけ遅らせると係数 1、両方で 2。屈折率 n = B²/A は近似ではなく等価で、影の縁 √27 m まで 12 桁当てる。「光速を変えればいい」は誰も言わなかったどころか教科書の等方座標であり 3+1 のラプスそのもの ── 珍しいのは節度の方。n = B²/A = 1+2m/ρ / 0.83″ vs 1.75″