わかる共形変換番外編 ⑥(本編級)/ シリーズ名の、残り半分

15話かけて「共形変換」と呼んできたものは、実は二種類あるうちの片方だけだった

もうひとつの共形変換 Weyl 変換のウェイトには、ちゃんと名前がありました ── スケーリング次元 \(\Delta\)
そしてそれだけしか観測量が存在しない世界が、実在します。水の臨界点です。

必要な道具:割り算、不等式、そして「無次元しかない」という状況への慣れ \(\mathcal{O}\to\Omega^{-\Delta}\mathcal{O}\)

このシリーズはずっと Weyl 変換(物差しを場所ごとに取り替える操作)を「共形変換」と呼んできました。ところが物理には、その名前で呼ばれるものがもう一つあります ── 平坦時空の共形群です。両者を並べると、シリーズがずっと計算していた「ウェイト」に正式な名前が付き、そして次元付きの量が一つも意味を持たない世界に出ます。そこでは観測量が \(\Delta\) という無次元数だけ。そしてその世界は思弁ではありません ── 水も、二酸化炭素も、一軸磁石も、臨界点でそこに落ちます。

01共形変換は、二種類ある

混乱の元なので、先に分けます。

Weyl 変換共形群
やること計量を書き換える \(g\to\Omega^2g\)時空を動かす(座標変換)
自由度関数 \(\Omega(x)\) ひとつ = 無限次元有限次元(\(d\ne2\) なら)
性格ゲージ的な書き換え(帳簿)本物の対称性
本シリーズ第1回〜番外編⑤の主役今回

共形群とは「平坦時空の座標変換のうち、計量を定数倍しか変えないもの」の全体です。個数を数えると、次元だけの関数になります。

数えてみる

内訳

$$\underbrace{\tfrac{d(d-1)}{2}}_{\text{回転}}+\underbrace{d}_{\text{並進}}+\underbrace{1}_{\text{拡大}}+\underbrace{d}_{\text{特殊共形}}=\frac{(d+1)(d+2)}{2}$$

4次元では

$$6+4+1+4=15\qquad(\text{ポアンカレの }10\ \text{に、5つ足した})$$

ポアンカレ対称性より 5つだけ広い。増えたのは「拡大」と「特殊共形変換」です。

次元 \(d\)共形対称性の個数備考
13共形量子力学
26この式が返すのは「大域的な部分」だけ。実際は無限次元
310臨界現象の舞台
415私たちの時空
628

2次元だけが例外です。 \(d=2\) では局所的な共形変換が無限にあり(正則関数の分だけある)、そのおかげで理論が厳密に解けてしまう。弦の世界面が2次元なのは、これが理由です。

02\(\Delta\) は、シリーズがずっと計算していた量だった

共形場理論の主役はスケーリング次元 \(\Delta\) です。定義はこう ──

\(\Delta\) の定義
$$\mathcal{O}(x)\ \longrightarrow\ \Omega^{-\Delta}\,\mathcal{O}(x)$$

これは Weyl ウェイトそのものです。

つまり第3回のウェイト表も、第7回の \(\Omega^{D-4}\) も、番外編④の \(\tilde m=\Omega^{-1}m\) も、全部 \(\Delta\) を計算していました。名前を知らないまま。「もうひとつの共形変換」は、実はずっと同じ部屋にいたのです。

そして \(\Delta\) には二つの部分があります。

古典と量子 $$\Delta=\underbrace{\Delta_{\text{古典}}}_{\text{工学的次元}}+\underbrace{\gamma}_{\text{異常次元}}$$

\(\gamma\ne0\) は「古典的に計算したウェイトが間違っている」ということ ── 第8回のアノマリーの、演算子ごとの姿です。

第8回では、アノマリーを \(\beta\) 関数で測りました(\(1/137\to1/128\))。演算子のレベルでは、それが \(\gamma\) になります。そして \(\gamma\) は実験で測れます。それが 05節です。

03\(\Delta\) しか存在しない世界

共形対称性が厳密に成り立つ理論(=共形場理論、CFT)では、次元付きの量が原理的に存在できません。長さの基準がないからです。では何が残るのか ── \(\Delta\) の一覧と、演算子どうしの掛け算の係数だけ。どちらも無次元です。

しかも \(\Delta\) は自由に選べません。ユニタリー性(確率が負にならないこと)が下限を与えます。

演算子\(\Delta\) の制約4次元で意味
スカラー\(\Delta\ge\dfrac{d-2}{2}\)\(\ge1\)等号は自由場
保存カレント \(J_\mu\)\(\Delta=d-1\)\(=3\)厳密(保存則が効く)
応力テンソル \(T_{\mu\nu}\)\(\Delta=d\)\(=4\)厳密
第8回が、ここに出てくる 「\(\Delta(T_{\mu\nu})=d\) が厳密」というのは、\(T^\mu_\mu=0\) の言い換えです ── トレースがゼロなら、応力テンソルの次元は動かない。第8回でやった共形アノマリーとは、まさにこれが破れる話でした。同じ一つの事実を、片方は「トレースが残る」、もう片方は「次元がずれる」と言っている。
◇ ◇ ◇

04ブートストラップ ── 無次元だけを入力する

ここからが本題です。CFT には、ラグランジアンを一切使わずに \(\Delta\) を決める方法があります。共形ブートストラップと呼ばれます。

入力1
クロッシング対称性4点関数を二通りの順序で展開したら、同じ答えになれ
入力2
ユニタリー性確率は負にならない ── 展開係数がすべて正
入力3
対称性(例:\(\mathbb{Z}_2\))スピンを反転しても同じ、という条件だけ

これだけです。結合定数もカットオフも格子間隔も、次元付きの量は一つも入りません。 出てくるのは「この \(\Delta\) の組み合わせはあり得ない」という禁止領域で、その境界に折れ曲がり(キンク)が現れる。

そして 3次元イジング模型は、そのキンクの上に乗っています。純粋に数学的な排除領域の角に、自然が座っている。

3次元イジング CFT(ブートストラップ 2016)
$$\Delta_\sigma=0.5181489(10),\qquad \Delta_\varepsilon=1.412625(10)$$

この二つの数から、臨界現象のすべてが出ます。

まず異常次元を読み取ります。3次元の自由スカラーは \(\Delta=(d-2)/2=0.5\) ちょうどですから

$$\gamma_\sigma=\Delta_\sigma-0.5=0.0181489$$

「Weyl ウェイトがどれだけ間違っているか」が、7桁の精度で分かっているということです。そしてこれには、統計物理でおなじみの名前が付いています ── \(\eta=2\gamma_\sigma=0.0362978\)。

05六つの臨界指数が、二つの数から出る

統計物理の教科書に出てくる臨界指数は、全部 \(\Delta_\sigma\) と \(\Delta_\varepsilon\) の翻訳です。

辞書(\(d=3\)) $$\eta=2\Delta_\sigma-d+2,\qquad \nu=\frac{1}{d-\Delta_\varepsilon}$$ $$\alpha=2-d\nu,\quad \beta=\frac{\nu(d-2+\eta)}{2},\quad \gamma=\nu(2-\eta),\quad \delta=\frac{d+2-\eta}{d-2+\eta}$$

独立なのは最初の二つだけ。残りの四つは従属です。

指数ブートストラップ実験・モンテカルロ何を測る量か
\(\eta\)0.0362980.0363(2)相関の減り方
\(\nu\)0.6299710.6300(17)相関距離の発散
\(\alpha\)0.1100870.110(5)比熱の発散
\(\beta\)0.3264190.3265(15)共存曲線の形
\(\gamma\)1.2370751.2372(5)感受率の発散
\(\delta\)4.7898414.789(2)臨界等温線

そして、どんな \((\Delta_\sigma,\Delta_\varepsilon)\) を入れても必ず成り立つ関係が一つあります。

動かない量
$$\alpha+2\beta+\gamma=2.000000\qquad(\Delta_\sigma,\ \Delta_\varepsilon\ \text{に依らず、恒等的に})$$

六つの指数は激しく動くのに、この組み合わせだけは 2 から動かない。番外編④の \(Q=2/3\) と、まったく同じ構造です。

ここが今回のいちばん大事なところです。水も、二酸化炭素も、一軸磁石も、二元合金も、臨界点で同じこの数に従います。 分子の形も結合の強さも、何ひとつ効かない。物質は舞台装置で、無次元数だけが物理 ── シリーズがずっと言ってきたことが、比喩ではなく実験事実として存在している

図:左が \((\Delta_\sigma,\Delta_\varepsilon)\) 平面(灰色はユニタリー性が禁じる領域、★がイジング点)。右は六つの臨界指数のバーで、細い縦線が実験値。ツマミを動かすと六本とも動き、実験の目盛りに六本そろって重なるのはイジング点だけ。それでも \(\alpha+2\beta+\gamma\) は 2 から動かない
Δ_σ = 0.518149
いまの値 実験値の目盛り ユニタリー性が禁じる領域

06なぜ臨界点は「面」ではなく「点」なのか

\(\Delta\) には、もう一つ決定的な役目があります。その演算子を放っておいてよいかどうかの判定です。

判定基準は、\(d\) との大小だけ
$$\Delta<d\ \Rightarrow\ \text{relevant(効いてくる。ツマミを回して打ち消す必要がある)}$$ $$\Delta>d\ \Rightarrow\ \text{irrelevant(勝手に消える。放っておいてよい)}$$

3次元イジングで数を入れます。

演算子\(\Delta\)\(d=3\) との大小対応するツマミ
\(\sigma\)(\(\mathbb{Z}_2\) 奇)0.518149relevant磁場(対称性を保てば禁止)
\(\varepsilon\)(\(\mathbb{Z}_2\) 偶)1.412625relevant温度
\(\varepsilon'\)(\(\mathbb{Z}_2\) 偶)3.829510irrelevant不要

対称性を保つ限り、relevant な演算子は \(\varepsilon\) ちょうど1個。だからツマミも1個 ── 温度だけ。

06節の結論

臨界点に届くのに何個ツマミを回すかは、無次元数の大小比較だけで決まっている。

\(\Delta_\varepsilon=1.41\ <\ 3\ <\ \Delta_{\varepsilon'}=3.83\) ── この一本の不等式が、臨界点が「面」ではなく「点」である理由です。そして \(\varepsilon'\) が \(d\) より大きいことが、普遍性そのもの:細かい違いは全部 irrelevant として流れ落ちる。

07質量の符号には、意味がない

最後に、シリーズの結論のいちばん過激な実例を出します。ホログラフィー(AdS/CFT)の辞書です。

帳簿と物理が、同じものの二つの読み方だった
$$\Delta(\Delta-d)=m^2R^2\qquad\Longleftrightarrow\qquad \Delta=\frac{d}{2}+\sqrt{\frac{d^2}{4}+m^2R^2}$$

左辺は境界の無次元量 \(\Delta\)、右辺はバルクの次元付きの質量。同じ一つのものを、内側から見るか外側から見るか。

そして、ここから信じがたい結論が出ます。\(\Delta\) が実数であるためには \(m^2R^2\ge-d^2/4\) であればよく、\(m^2\) は負でも構わない

\(d\)BF 限界 \(m^2R^2\ge\)そこでの \(\Delta\)\(m^2R^2=0\) なら
2\(-1\)1.0\(\Delta=2\)
3\(-2.25\)1.5\(\Delta=3\)
4\(-4\)2.0\(\Delta=4\)

平坦時空なら \(m^2<0\) はタキオン=不安定の代名詞でした。ところが AdS では違う。

今回の一行

安定かどうかを決めるのは \(m^2\) の符号ではなく、\(\Delta\) が実数かどうか。

次元付きの量の符号には、それ単独では意味がない。判定できるのは無次元量だけ ── 第10回の判定手続きが、そのまま安定性の定理になっている。

08開いた扉 ── ヘリウムの 6σ

ここまで綺麗な話をしてきたので、合っていないものも出しておきます。イジングの隣、3次元 XY 普遍性クラス ── 液体ヘリウム4の λ点です。

合っていない

理論(ブートストラップ、モンテカルロも一致)

$$\Delta_s=1.51136(22)\ \Rightarrow\ \nu=0.671754,\qquad \alpha=2-3\nu=-0.01526(30)$$

実験(Lipa ら 2003、スペースシャトルで重力を消して測定)

$$\alpha=-0.0127(3)$$

差 0.00256、およそ 6σ。どちらも精密なのに、合いません。

比熱の指数がゼロにごく近いので対数的な補正の扱いが難しく、実験側の解析にも理論側の外挿にも議論があります。いまも決着していない食い違いです。

正直な線

01節の「Weyl 変換と共形群は別物」という整理は、教育的な切り分けです。実際には両者は密接で、「平坦時空を保つ diffeo と Weyl の組み合わせ」が共形群になります。また「Weyl 不変なら共形不変」は一般には成り立たず(逆は成り立つ)、条件付きの命題です。

04節のブートストラップは数値的な手法です。「イジングがキンクに乗る」ことは、キンクの位置がモンテカルロの値と一致するという意味であって、キンクがイジングであることの証明ではありません(近年は厳密な island 法で高精度に閉じ込められています)。表の \(\Delta\) の誤差は数値的なもので、系統誤差の見積もりを含みます。

05節の「実験・モンテカルロ」欄はさまざまな測定・計算のおおよその代表値で、単一の実験値ではありません。実在の流体や磁石は厳密な CFT ではなく、臨界点に十分近いときだけ指数が現れます(補正項があります)。

07節の \(\Delta(\Delta-d)=m^2R^2\) はスカラー場についての関係で、スピンがあると形が変わります。AdS/CFT 自体は予想であって、一般には証明されていません。08節の食い違いは実在の未解決問題ですが、実験・理論のどちらに原因があるかは定まっていません。

練習問題
  1. 4次元の共形対称性は 15個。ポアンカレの 10個より 5つ多い。増えた 5つは何か。
    答えを見る
    拡大(ディラテーション)1個と、特殊共形変換 4個。前者が「全体を一様に伸ばす」、後者が「反転してから並進してもう一度反転する」操作です。一般に \(d\) 次元では \(1+d\) 個増えるので、合計 \(d(d-1)/2+d+1+d=(d+1)(d+2)/2\)。
  2. \(\eta\) と異常次元の関係を述べよ。
    答えを見る
    \(\eta=2\gamma_\sigma\)。3次元の自由スカラーは \(\Delta=(d-2)/2=0.5\) なので、\(\gamma_\sigma=\Delta_\sigma-0.5=0.0181489\)、よって \(\eta=0.0362978\)。\(\eta\) は「古典的な Weyl ウェイトがどれだけ間違っているか」の 2倍で、第8回のアノマリーを演算子ごとに測ったものです。
  3. なぜ臨界点に届くのに温度というツマミが1個だけで済むのか。
    答えを見る
    \(\mathbb{Z}_2\) 対称性を保つ演算子のうち relevant(\(\Delta<d=3\))なものが \(\varepsilon\) の1個しかないから。次の \(\varepsilon'\) は \(\Delta=3.83>3\) で irrelevant。ツマミの数=relevant な演算子の数で、それは無次元数と \(d\) の大小比較だけで決まります。ついでに、\(\varepsilon'\) が irrelevant であることが普遍性の理由でもあります。
  4. \(\alpha+2\beta+\gamma=2\) が恒等的に成り立つことを示せ。
    答えを見る
    代入するだけです。\(\alpha+2\beta+\gamma=(2-d\nu)+\nu(d-2+\eta)+\nu(2-\eta)=2-d\nu+d\nu-2\nu+\nu\eta+2\nu-\nu\eta=2\)。\(\nu\) も \(\eta\) も \(d\) も全部消えます。だから図でツマミをどう回しても 2 から動きません ── これは物理ではなく、六つの指数が二つの数の関数であることの帰結です。
  5. (やや難)AdS で \(m^2<0\) が許されるのはなぜか。
    答えを見る
    安定性の条件は「\(m^2>0\)」ではなく「\(\Delta\) が実数」だから。\(\Delta=d/2+\sqrt{d^2/4+m^2R^2}\) なので、\(m^2R^2\ge-d^2/4\) までは \(\Delta\) が実数のままで、揺らぎは増幅されません。AdS の負の曲率が「箱」として働き、負の \(m^2\) をある程度まで支えます。次元付きの量(\(m^2\))の符号だけでは判定できず、無次元量(\(\Delta\))の実数性が本当の基準 ── これが Breitenlohner–Freedman 限界です。

まとめウェイトには、名前があった

「共形変換」には二種類あります。このシリーズが 15話かけて扱ってきた Weyl 変換(無限次元、ゲージ的な書き換え)と、平坦時空の共形群(有限次元、本物の対称性、4次元で 15個)。ただし \(d=2\) だけは共形群も無限次元で、それが弦の世界面が 2次元である理由です。

そして両者はつながっていました。共形場理論の主役 \(\Delta\) の定義は \(\mathcal{O}\to\Omega^{-\Delta}\mathcal{O}\) ── \(\Delta\) は Weyl ウェイトそのもの。第3回のウェイト表も第7回の \(\Omega^{D-4}\) も、名前を知らずに \(\Delta\) を計算していたのでした。古典的なウェイトとの差 \(\gamma\) が異常次元で、それは第8回のアノマリーを演算子ごとに測ったものです。

共形ブートストラップは、次元付きの入力を一つも使いません ── クロッシング対称性とユニタリー性と対称性だけ。それで 3次元イジングの \(\Delta_\sigma=0.5181489\)、\(\Delta_\varepsilon=1.412625\) が決まり、そこから六つの臨界指数が全部出て、水も二酸化炭素も一軸磁石も同じ数に従う。\(\gamma_\sigma=0.0181489\)、つまり「Weyl ウェイトの間違い」が 7桁で測られている。そして \(\alpha+2\beta+\gamma\) は、どんな \(\Delta\) を入れても 2 から動きません。

さらに \(\Delta\) は、臨界点に届くのにツマミが何個要るかまで決めます。\(\Delta_\varepsilon=1.41<3<\Delta_{\varepsilon'}=3.83\) ── この一本の不等式が、臨界点が点である理由であり、普遍性そのものでもある。最後にホログラフィーの辞書 \(\Delta(\Delta-d)=m^2R^2\) が、帳簿(バルクの質量)と物理(境界の \(\Delta\))を同一物として結び、安定性を決めるのは \(m^2\) の符号ではなく \(\Delta\) が実数かどうかだと告げます。第10回の判定手続きが、そのまま安定性の定理になっていました。

この文書は「わかる共形変換」シリーズ番外編⑥、物理好きの高校生・大学生向け読み物です。\(d\) 次元の共形代数の次元が \((d+1)(d+2)/2\) であること、\(d=2\) でのみ局所共形代数が無限次元(Virasoro)になることは標準的です。スケーリング次元 \(\Delta\) が Weyl 変換における重み(\(\mathcal{O}\to\Omega^{-\Delta}\mathcal{O}\))であること、\(\Delta=\Delta_{\text{古典}}+\gamma\) で \(\gamma\) が異常次元であることも標準的です。スカラーのユニタリー限界 \(\Delta\ge(d-2)/2\)、保存カレントの \(\Delta=d-1\)、応力テンソルの \(\Delta=d\) はいずれも標準的な結果です。3次元イジング CFT の \(\Delta_\sigma=0.5181489(10)\)、\(\Delta_\varepsilon=1.412625(10)\)、\(\Delta_{\varepsilon'}=3.82951(61)\) は共形ブートストラップ(El-Showk, Paulos, Poland, Rychkov, Simmons-Duffin, Vichi ら 2012–2016)による値です。臨界指数への変換式(\(\eta=2\Delta_\sigma-d+2\)、\(\nu=1/(d-\Delta_\varepsilon)\) ほか)は標準的で、表の指数の値および \(\alpha+2\beta+\gamma=2\) が恒等式であることは本稿での計算です。「実験・モンテカルロ」欄は複数の測定・数値計算のおおよその代表値であり、単一の出典による値ではありません。3次元 XY の \(\Delta_s=1.51136(22)\) は Chester らのブートストラップによる値、\(\alpha=-0.0127(3)\) は Lipa らによる宇宙実験(2003)の値で、両者の食い違いは未解決の問題です。AdS/CFT のスカラーに対する関係式 \(\Delta(\Delta-d)=m^2R^2\) と Breitenlohner–Freedman 限界 \(m^2R^2\ge-d^2/4\) は標準的ですが、AdS/CFT 対応そのものは証明されていない予想です。ブートストラップは数値的手法であり、「イジング模型がキンクに乗る」ことはモンテカルロとの一致を意味しますが、それ自体が証明ではありません。実在の物質は厳密な CFT ではなく、臨界点近傍でのみこれらの指数が現れます。 ── 印刷する場合はブラウザの「印刷」から「PDF に保存」を(印刷版ではスライダーと解答は静止・非表示になります)。

印刷 / PDF 化:⌘+P(Windows は Ctrl+P)。画面では二つのスライダーで \(\Delta\) を動かし、六本のバーが実験値に重なる点を探せます。「答えを見る」で解答が開きます。