考える波 第 63 回 / 第 XX 部・トンネルするものたち
核の準位と リーマン零点は、同じ統計だった
波とゼータ ──
共鳴が並ぶと、数論に出る
「核物理を 波として考えると 計算は簡単になるか」── なります。共鳴(定在波)と しみ出し(トンネル)に分ければ、前者は数個の数、後者は質量と電荷だけ。
★★ 「波とゼータの関係は」── その二つは同じ場所で合流します。共鳴が並んだときの間隔の統計が、リーマンゼータの零点の統計と同じものでした(Montgomery–Dyson 1972)。
★★★ 本回はリーマン零点を自前で計算して確かめます ── \(\chi^2\) は Poisson 3906、GOE 495、GUE 32.7。
第 62 回で「d+t の利点は障壁ではなく共鳴」と分かりました。★ ではその共鳴は、いくつ必要なのか。そして共鳴が並んだとき、何が現れるのか。
★★ 答えは ── 数論に出ます。
01核を波として見る ── 共鳴と しみ出しに 分ける
第 62 回で右側(しみ出し)は質量と電荷だけで決まると分かりました。では左側は? ── d+t の \(S(E)\) を、ブライト=ウィグナー1 つで合わせてみます。
| \(E\)[keV] | \(S(E)\) 実際 | 共鳴 1 つ | 比 |
|---|---|---|---|
| 10 | 12155 | 15534 | 1.278 |
| 30 | 21198 | 21110 | 0.996 |
| 64 | 23061 | 21811 | 0.946 |
| 100 | 11427 | 12222 | 1.070 |
| 300 | 1202 | 1015 | 0.844 |
| 当てはめる窓 | \(E_R\)[keV] | \(\Gamma\)[keV] | 典型のずれ |
|---|---|---|---|
| 5〜300 keV(広い) | 48.5 | 106.5 | 9.6 % |
| 35〜110 keV(山だけ) | 48.8 | 91.9 | 0.5 % |
| 文献(R 行列の極) | 64 | 約 75 | 別の模型 |
01節の中心 ── 簡単になる。ただし代金がある
★★★ 共鳴 1 つ で 5〜300 keV を 10 % 程度、山だけなら 0.5 % で再現できます。d+t の核物理は3 つの数(\(E_R\), \(\Gamma\), 強さ)に畳めました。
★★ ところがその 48.8 keV は、文献の「共鳴 64 keV」とは別の量です。文献の 64 keV は R 行列の極(幅がエネルギーで変わる扱い)、本稿の値は「幅を定数にした BW を \(S(E)\) に合わせた中心」。どちらも同じ \(\sigma(E)\) を与えますが、数としては一致しません。
★ これは間違いではなく模型の違い ── 第 55 回の分類でいう「模型を仮定した値」。断面積を作るのが目的なら 48.7 keV が正しく、共鳴の位置を言いたいなら 64 keV を使うべきです。
★★★ つまり:簡単にはなる。ただし出てくるのは模型の数で、共鳴のパラメータではない。
02共鳴が並ぶと、何が現れるか
核には共鳴が 1 つではなくたくさんあります。重い核なら中性子分離エネルギーの近くに、数 eV 間隔で何百本も。★ 一本一本の位置を計算するのは絶望的です ── 核力の詳細が全部効くので。
★★ ところがウィグナーが 1950 年代に気づきました:個々の位置は計算できなくても、間隔の分布は計算できる。しかもそれは核力の中身に依らず、対称性だけで決まる。
| 統計 | \(P(s)\) | \(\langle s^2\rangle\) | \(s<0.3\) の割合 | どんな系 |
|---|---|---|---|---|
| ポアソン | \(e^{-s}\) | 2.0000 | 0.2592 | 無相関(可積分系) |
| GOE | \(\frac{\pi}{2}se^{-\pi s^2/4}\) | 1.2732 | 0.0682 | 時間反転対称あり ── 原子核 |
| GUE | \(\frac{32}{\pi^2}s^2e^{-4s^2/\pi}\) | 1.1781 | 0.0187 | 時間反転対称なし |
★ 要点は \(s\to0\) の振る舞い:無相関なら「ぴったり重なる準位」がいちばん多いはず(\(e^{-s}\) は \(s=0\) で最大)。ところが実際の核は \(s\to0\) で 0 に落ちます ── 準位反発。
★★ 落ち方が \(s^1\) か \(s^2\) かで GOE と GUE が分かれます。原子核データ集成(NDE)は GOE に従うことが知られています。
03リーマン零点を、自前で 計算する
ここで数論に移ります。リーマンゼータの非自明な零点は、リーマン=ジーゲルの公式で計算できます。
| 番号 | 本稿の計算 | 既知の値 | 差 |
|---|---|---|---|
| 1 | 14.137196 | 14.134725 | 2.5e−3 |
| 2 | 21.024377 | 21.022040 | 2.3e−3 |
| 5 | 32.932562 | 32.935062 | 2.5e−3 |
| 10 | 49.772641 | 49.773832 | 1.2e−3 |
★ 漸近公式なので低い \(t\) では \(10^{-3}\) 級ですが、誤差は \(t^{-3/4}\) で減ります。統計に使うには「数え落としも偽の零点もない」ことのほうが大事で、それはリーマン=フォン・マンゴルトの \(N(T)\simeq\theta(T)/\pi+1\) と突き合わせれば分かります。
| 範囲 | 見つけた個数 | \(N(T)\) の予想 | 差 |
|---|---|---|---|
| \(t=10\ldots1000\) | 649 | 648.59 | 0.41 |
| \(t=10\ldots5000\) | 4520 | 4520.31 | −0.31 |
| \(t=10^4\ldots1.2\times10^4\) | 2377 | 2376.63 | 0.37 |
| \(t=5\times10^4\ldots5.1\times10^4\) | 1430 | 1431.10 | −1.10 |
★★★ 1 個未満のずれで合う ── 数え落としも偽の零点もありません。統計に使えます。
04★★★ アンフォールドして、間隔を 比べる
零点の密度は \(t\) とともに増えます(\(dN/dt=\ln(t/2\pi)/2\pi\))。統計を見るには密度を 1 に揃えなければなりません ── これがアンフォールド。幸い、その変換はすでに手元にあります:\(x_n=\theta(t_n)/\pi\)。
| 値 | |
|---|---|
| \(t=10^4\ldots1.4\times10^4\) の零点 | 4808 個 |
| 生の平均間隔(\(t\) で) | 0.8321 |
| 理論 \(2\pi/\ln(t/2\pi)\) | 0.8317 |
| アンフォールド後の平均 | 0.999823 |
リーマン零点の 準位統計 ── 自分で 計算してみてください
| 零点の窓 | \(\langle s^2\rangle\) | \(s<0.3\) | \(\chi^2\) Poisson | \(\chi^2\) GOE | \(\chi^2\) GUE |
|---|---|---|---|---|---|
| \(t=10^4\) | 1.1583 | 0.0221 | 4223 | 581 | 41.9 |
| \(t=10^5\) | 1.1629 | 0.0225 | 3906 | 495 | 32.7 |
| (比較)GUE | 1.1781 | 0.0187 | ── | ── | ── |
| (比較)GOE | 1.2732 | 0.0682 | ── | ── | ── |
| (比較)ポアソン | 2.0000 | 0.2592 | ── | ── | ── |
いちばん効くのは小さい \(s\) です。ヒストグラムの頭のほうだけ見ると:
| \(s\) | ★ 零点(実測) | ポアソン | GOE | GUE |
|---|---|---|---|---|
| 0.07 | 0.025 | 0.928 | 0.117 | 0.018 |
| 0.22 | 0.125 | 0.799 | 0.340 | 0.154 |
| 0.38 | 0.333 | 0.687 | 0.527 | 0.381 |
| 0.82 | 0.934 | 0.438 | 0.759 | 0.928 |
| 1.27 | 0.734 | 0.279 | 0.559 | 0.665 |
04節の中心 ── これが 本回の 山
★★★ \(s=0.07\) で、ポアソンは 0.928、GOE は 0.117、GUE は 0.018 を予想します。実測は 0.025。
★★ 零点は「重なりたがらない」 ── 無相関ならいちばん多いはずの「ぴったり近い対」が、ほとんど無い。これが準位反発で、原子核の準位とまったく同じ現象です。
★★★ しかも落ち方は \(s^2\)(GUE)── 核の \(s^1\)(GOE)より急。\(\chi^2\) で Poisson 3906、GOE 495、GUE 32.7 ── GUE が GOE より 15 倍 良い。
★ \(t\) を \(10^4\to10^5\) に上げると \(\chi^2\) は 41.9 → 32.7 と改善します。収束は遅く、Odlyzko が \(t=10^{20}\) まで行ったのはこのためです。
05なぜ 同じなのか ── そして 何が 言えないか
★ 答えは「対称性しか効かないから」です。ランダム行列の準位統計は、行列の中身にまったく依りません ── 実対称(時間反転あり)か エルミート(なし)か、それだけで決まります。
★★ だから、中身がまるで違う系が同じ統計になります。核力とゼータ関数に共通の物理はありません。共通なのは「たくさんの準位が、ある対称性のもとで並んでいる」という構造だけ。
| 言えること | 根拠 |
|---|---|
| d+t の \(S(E)\) は共鳴 1 つで書ける | 残差 10 %(山だけなら 0.5 %) |
| ★ ただし \(E_R\) は模型の数 | R 行列の 64 keV とは別物 |
| 零点を自前で計算できる | \(N(T)\) と 1 個未満で一致 |
| ★ 零点の間隔はポアソンではない | \(\chi^2\) が桁違い |
| ★ 零点の間隔は GUE に近い | \(\langle s^2\rangle\) とヒストグラム |
| \(t\) を上げると GUE に近づく | \(10^4\) と \(10^5\) の比較 |
| ★★ 言えないこと | 理由 |
|---|---|
| 零点がある演算子の固有値である | ヒルベルト=ポリア予想 ── 未解決 |
| GUE 一致がリーマン予想を示す | 別の問題。統計は予想を含意しない |
| 核の準位と零点が「同じ物理」 | 同じ統計であって同じ機構ではない |
| 本稿が何かを証明した | 既知の結果の数値確認 |
05節の中心 ── いちばん大事な区別
★★★ 「同じ統計」は「同じ物理」ではありません。対称性が同じなら中身が違っても同じ統計になる ── だから一致するのであって、隠れた共通機構があるからではない。
★★ それでも面白いのは:ゼータの零点が「時間反転のない量子系」の対称性クラスに落ちることが、数論の側からは予想されていなかった点です。★ 1972 年、モンゴメリーが零点の対相関を計算し、お茶の時間にダイソンに話したら「それは GUE だ」と即答された ── というのが有名な逸話です。
06そして \(-1/12\) ── あれは スペクトルの ゼータだった
第 45 回でカシミール効果の \(-1/12\) を出し、第 61 回で 5 種類の切断に依らないことを確かめました。★ ここでその由来がはっきりします。
06節の中心
★★★ \(-1/12\) は「波のスペクトルのゼータ関数の値」でした。\(1+2+3+\cdots\) の「値」ではなく、モードの並びが決めている数です。
★★ 第 45 回は切断で、第 61 回は 5 種類の切断の一致で、そして本回はスペクトルゼータという名前で ── 三度目にして、同じものを三つの角度から見たことになります。
★ そして本回の 04 節も、同じ「スペクトルのゼータ」の話です ── 零点の統計も、モードの並びの性質。ゼータ関数は、波の並びを書く言葉でした。
07太鼓の形は 聞けるか ── ワイルの法則
スペクトルには形の情報が入っています。長方形の太鼓(\(a\times b\)、固定端)の固有値を数えると:
| \(\Lambda\) | 数えた \(N(\Lambda)\) | 第 1 項(面積) | 第 2 項まで | 残差 |
|---|---|---|---|---|
| \(10^4\) | 531 | 557.0 | 530.0 | 1.0 |
| \(10^5\) | 5486 | 5570.4 | 5484.9 | 1.1 |
| \(10^7\) | 556183 | 557042.3 | 556186.7 | −3.7 |
★★ 第 1 項が面積、第 2 項が周長 ── \(10^7\) で 0.001 % の一致。スペクトルから形が読めます。
★★★ これが「太鼓の形は聞けるか」。答えは「面積と周長は聞ける(形そのものは聞けない)」。
★ ゼータの側で言えば:スペクトルゼータ \(\zeta_\Delta(s)=\sum\lambda_n^{-s}\) の極の位置と留数が、面積・周長・曲率に対応します ── 波の並びとゼータ関数は、同じものの二つの書き方でした。
練習問題
- 01 節で \(E_R\) が模型ごとに違う値になった。これは第 55 回のどの話か。
答えを見る
「模型を仮定した値」そのものです。第 55 回で本シリーズの数字 16 件を分類したとき、5 件が これでした。
★ ここで新しいのは、同じ観測量(\(\sigma(E)\))を同じ精度で再現する二つの模型が、パラメータとしては 24 % 違う値を返すという具体例が出たこと。
★★ どちらも間違っていません。「48.7 keV」は「幅一定の BW で \(S(E)\) を合わせたときの中心」、「64 keV」は「R 行列の極」── 定義が違う量です。
★★★ だから手引きに足すべきは:パラメータを書くときは、模型の名前も一緒に書く。第 60 回の「分散を書くときは記録の長さも書く」(⑭)と同じ形の要求です。
★ 観測量(断面積)は模型に依らないのに、パラメータは依る ── その差が「測った値」と「読み取った値」の境目です。 - 04 節で「\(t\) を上げると GUE に近づく」と出た。なぜ収束が遅いのか。
答えを見る
零点の統計には、素数からの補正が乗っているからです。
★ 対相関の補正項は \(1/\ln(t/2\pi)\) の程度で落ちます。★★ \(t=10^5\) では \(\ln(t/2\pi)=9.7\) なので補正は 10 % 程度。これを 1 % にするには \(\ln\) を 100 にする必要があり、\(t\sim e^{100}\approx10^{43}\)。
★★★ つまり「対数でしか良くならない」 ── 第 53 回の「範囲は対数でしか買えない」が、ここにも出ています。Odlyzko が \(10^{20}\) まで行っても \(\ln=45\)、まだ 2 % 級です。
★ 本稿の \(\chi^2\) が 41.9 → 32.7 としか改善しないのも同じ理由 ── \(t\) を 10 倍 しても \(\ln\) は 9.7 → 12.0 にしか増えません。 - 「核の準位は GOE、零点は GUE」と出た。この違いは何を意味するか。
答えを見る
時間反転対称性の有無です。
★ 原子核は時間反転に対して対称なので、ハミルトニアンは実対称行列にできる ── GOE。★★ 零点の統計が GUE ということは、もし零点が何かの固有値なら、その「何か」は時間反転対称でないということになります。
★★★ ここが面白いところで、同時にいちばん注意が要るところです。これは「そういう演算子が存在する」ことの証拠ではありません ── ヒルベルト=ポリア予想は未解決のままです。
★ 言えるのは「もし存在するなら、その対称性クラスはこれ」という条件つきの手がかりだけ。★★ 第 55 回の言葉では、これは「仮定つきの推論」であって測定結果ではありません。磁場中の核(時間反転が破れる)は GUE に移ることが知られており、対応は具体的です ── が、それでも「同じ統計」止まりです。
まとめ 共鳴が並ぶと、数論に出る
「核物理を波として考えると計算は簡単になるか」── なります。
★★★ \(\sigma(E)=\dfrac{S(E)}{E}\,e^{-B_G/\sqrt E}\)。
右は質量と電荷だけ(第 62 回)、左は共鳴 1 つ(本回)。
★ d+t の \(S(E)\) は共鳴 1 つ で 10 %(山だけなら 0.5 %)まで再現できました。核物理が 3 つの数に畳めます。★★ ただし代金があり、得られる \(E_R=48.8\) keV は文献の 64 keV とは別の量(R 行列の極ではなく、幅一定 BW の中心)。同じ \(\sigma(E)\) を与えるのにパラメータは 24 % 違う ── 第 55 回の「模型を仮定した値」の教科書的な例です。
★★★ そして共鳴が並ぶと、準位統計になります。個々の位置は計算できなくても、間隔の分布は対称性だけで決まる(ウィグナー)。
★★★ その統計が、リーマンゼータの零点の統計と同じものでした。
★ 本回は零点を自前で計算して確かめました(リーマン=ジーゲル、\(N(T)\) と 1 個未満で一致)。アンフォールド後の平均間隔 0.999823、\(\langle s^2\rangle=1.163\)(GUE 1.178 / GOE 1.273 / ポアソン 2.000)。★★ \(\chi^2\) は Poisson 3906、GOE 495、GUE 32.7 ── \(s=0.07\) でポアソンは 0.928 を予想するのに、実測は 0.025。零点は重なりたがらない ── 原子核の準位とまったく同じ現象です。
★★ ただし「同じ統計」は「同じ物理」ではありません。ランダム行列は対称性だけで決まるので、中身が違っても一致します。★ 零点が何かの演算子の固有値である(ヒルベルト=ポリア)ことは未解決のままで、本回はそれに触れてもいません。
★★★ おまけに \(-1/12\) の正体も片づきました ── あれは波のスペクトルのゼータ関数 \(\zeta(-1)\) です。\(1+2+3+\cdots\) の値ではなく、モードの並びが決めている数。★ そしてワイルの法則(\(10^7\) で 0.001 % 一致)が示すとおり、スペクトルには面積と周長が入っています ── 波の並びとゼータ関数は、同じものの二つの書き方でした。
★ では、統計が一致することから何なら言えるのか。
★★ 次回はそこを詰めます ── 本シリーズは第 1 回から「同じ \(\alpha\) に乗る」を集めてきました。第 61 回では「四つの道すじが同じ \(6\alpha\) に乗るのは根が一つのフーリエ変換だから、道具の整理であって新しい物理ではない」と書きました。
★★★ 一致には階級があります。「同じ式」「同じ対称性」「同じ機構」── どれがどれかを、シリーズ中の一致を全部並べて判定します。
この文書は「考える波」シリーズ第 63 回です。計算は kenshou/zeta.js で行っています(依存ライブラリ 0、リーマン零点も自前計算、検算 10 件すべて合格)。本稿の発見ではないもの:単一準位ブライト=ウィグナー公式、リーマン=ジーゲル公式、リーマン=フォン・マンゴルトの \(N(T)\)、ウィグナーの準位統計と準位反発、ランダム行列の対称性クラス(GOE / GUE)、モンゴメリーの対相関予想とダイソンとの一致(1972)、Odlyzko による大規模数値検証、ゼータ関数正則化、ワイルの法則、「太鼓の形は聞けるか」── いずれもよく知られた結果で、本稿はその数値確認です。本稿がしたのは、① d+t の \(S(E)\) を共鳴 1 つで合わせ、得られる \(E_R\) が R 行列の値と 24 % 違うことを模型依存性の具体例として示したこと、② リーマン零点を自前で計算して \(N(T)\) と照合し、統計に使える精度であることを確かめたこと、③ その間隔分布を GUE / GOE / ポアソンと \(\chi^2\) で比べたこと、④ \(-1/12\) をスペクトルゼータとして位置づけ直したことです。限界:零点の計算はリーマン=ジーゲルの主要項+先頭の補正項までで、低い \(t\)(\(t<100\) 程度)では \(10^{-3}\) 級の誤差があります。統計は \(t=10^4\) と \(10^5\) の窓のみで、Odlyzko の \(10^{20}\) とは比べものになりません ── GUE への一致が不完全なのは計算の不備ではなく、\(1/\ln(t/2\pi)\) の補正が残っているためです(練習問題 2)。核の準位が GOE に従うことは文献の結果で、本稿は核データを解析していません。本稿は数論の未解決問題について何も主張していません(リーマン予想にもヒルベルト=ポリア予想にも触れていません)。 ── 印刷する場合はブラウザの「印刷」から「PDF に保存」を。